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社員旅行の「家族同伴」は経費になる?福利厚生費徹底解説

家族


「社員旅行に家族同伴で行った」
「いつもお世話になっている取引先の営業さんを社員旅行に招待したんだよ」

なんて話、耳にしたことはないですか?

それほど珍しい話でもないようですが、この場合に気になるのは果たして家族同伴の社員旅行を「経費」として計上できたのか?という問題です。

社員旅行は「福利厚生費」の勘定科目となりますが、家族や取引先などを招待しても「経費」にすることはできるのでしょうか?

答えは、基本的には経費にはできない、とされています。

それはなぜか?まずは「社員旅行」の定義から確認しておく必要があります。この記事では、福利厚生費として認められない社員旅行などをケースごとに詳しく解説していきます。

■もくじ
・社員旅行の家族同伴が経費としてNGな理由と連れて行く方法
・福利厚生費になる「社員旅行」の条件
・福利厚生費としての社員旅行の解説
・経費にならない社員旅行の例
・社員旅行の日程表と参加者名簿は用意しておくべき!

社員旅行の家族同伴が経費としてNGな理由と連れて行く方法

家族同伴の社員旅行は基本的に経理処理できません。

なぜならば、(勤務実態のない)従業員ではない家族の場合は「福利厚生費」として計上できる条件を満たさないからです。福利厚生費になる「社員旅行」の条件は、のちほど解説していきます。

では家族や友人も社員旅行に参加させること自体は可能なのでしょうか?条件付きで参加させることができます。

家族同伴

家族でも実際に勤務している社員であれば問題なく参加できます。

家族経営の会社で、従業員としての慰労を目的とした社員旅行であれば経費として処理できると言うわけです。

ところが、まったく勤務実態のない家族を同行させるには、家族分の旅費を「実費払い」にすることが必須です。

もし家族同伴の社員旅行を経費として計上し、そのことがバレたら、あとから家族分だけを実費払いにすれば済むか?というと、そういうわけにはいきません。

当事者である社員を含む、家族全員分の旅費が給与課税されることとなります。

また、取引先など部外の方を社員旅行に連れていった場合は【接待交際費】となりますので福利厚生からは外れ、また別の勘定となります。

あとから面倒なことにならないために、社員以外が参加する場合はあらかじめ「実費」で旅行費用をもらっておく必要があるのです。もちろん、実費で旅行費用を払ってもらった証明として領収書をもらうこともお忘れなく!

福利厚生費になる「社員旅行」の条件

福利厚生費として計上できる社員旅行とはいったいどんな内容を指すのでしょうか?詳しくみていきましょう。

1. 旅行期間が4泊5日以内であること

(海外旅行の場合は目的地での滞在日数が4泊5日、機内泊はカウントしない)
※もし5泊6日になった場合、オーバー分した1泊分だけが認められないのでなく、旅行自体が経費計上できなくなります。

2. 旅行への参加者が従業員数の50%以上であること

※パートやアルバイトは参加できないのか?各部署ごと、または工場単位での旅行の場合は人数調整などどうしたらいいのか?はのちほど詳しく説明します。

3. その旅行にかかる金額が、社会通念上一般的なものであること

※贅沢すぎない、常識の範囲内での旅行であることという意味。

概ね一人当たりの社員旅行費は10万円までが妥当とされています。例えば、会社負担が10万円で自己負担が15万の計25万円の旅行内容でも可となります。

これらの要件を満たし、社員の慰安を目的とした旅行なのであれば、旅行にかかる費用を会社が福利厚生費として計上することができます。

▼関連コンテンツ
福利厚生費として社員旅行費用を計上する方法

福利厚生費としての社員旅行の解説

上記2番の「旅行への参加者が従業員の50%以上であること」という部分ですが、いろんな疑問がわいてきますね。

「うちの会社は個人経営で社長も含めて数人しかいないので、この場合はどうすればいいの?」
「パートやアルバイトは社員旅行に参加できないの?」などなど…。
ひとつずつお答えしていきましょう。

小人数における「従業員の50%以上」について

まず従業員の50%以上とする解釈ですが、たとえば従業員が5人の少数経営の場合でも考え方は同じ。半数以上の3人以上が参加すれば良いということになります。

また、大企業となれば、それぞれの部署ごと、もしくは各地方にある工場ごとに慰安旅行に出かけることもあるかと思います。この場合はそれぞれの部署や工場の全従業員の半数以上であればOKという解釈になります。

アルバイトやパートの社員旅行経費について

社員旅行に参加できる従業員の中に「アルバイトやパート」は入らないのか?という疑問(ネット上でも同様の質問を多く見かけました)。

アルバイトやパートも経費で社員旅行に連れていきたいというのであれば、社内規程で従業員とする範囲に「パートやアルバイトも含む」と明記されているのか?と言う事を確認する必要があります。

要するに、その会社にとって社員旅行に連れていける「従業員と定めている範囲」はどこまでなのか?ということです。

アルバイトは社員旅行につれていける?

どうしても連れていきたいのであれば内規を改定する必要があります(「パートやアルバイトも従業員に含む」と)。

そうでなければ後々税理士さん、もしくは税務調査が入った時に経費に計上したことを調査されることになります。

経費にならない社員旅行の例

上記した以外にも「福利厚生費」として社員旅行を経費に計上するためには、いくつか気をつけなければならない点があります。

「社員の慰労」が目的となっていない

たとえ従業員の50%以上が参加している4泊5日の旅行だとしても、旅程のほとんどが「ゴルフツアー」だった場合、社員旅行として認められなくなります。

問題となるのは「ゴルフツアーが社会通念上一般的ではない」と判断される点。旅行の内容が「社員の慰労」が目的となっていないことには社員旅行と位置付けられません。

なぜゴルフツアーが?と疑問を呈する税理士さんもいらっしゃいますが、事例があることなので気を付けるに越したことはありません。

役員だけの社員旅行

役員だけが参加して慰安目的の旅行をした場合は「社員旅行」とは認められません。

まず「役員だけ」と限定した時点で「役員賞与」として「課税対象」となります(業務に関わる視察旅行などの出張である場合のみ、旅費交通費として会社の費用で処理できます)。

不参加の場合に、旅費を金銭として支払う

社内で社員旅行の参加者募集をする際に「自己都合による不参加の場合は参加する社員同様、旅費を金銭として支払う」という意味合いの選択肢を用意してしまうと、参加せずに旅費をもらった社員は「給与所得」として課税対象となってしまいます。

そのうえ、社員旅行自体も福利厚生費として計上できなくなってしまうのです。自己都合による不参加者への旅費の実費支給はしてはいけません。

給料


また、勤務上どうしても旅行に参加できない事態が発生した場合は(宿直などやむ得ない場合にのみ)不参加分の旅費を現金にて返金していいことになっています。ただし、受け取った社員は給与所得となり課税対象となります。

関連した話題として、「社員旅行のための旅行積立」を給与天引きでしていた場合、自己都合で旅行に不参加となり旅費分を返金したとしても、給与課税とはなりません。この場合は「預り金を返した」という解釈になるからです。

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社員旅行の日程表と参加者名簿は用意しておくべき!

税金の問題はなかなか簡単ではなく、とくに会社の税務に関しては一筋縄ではいかない問題ばかりです。税務署から指摘を受けて初めて知った、なんてことも珍しくありません。

そのうえ追徴課税になってしまったりと大変な事態を招きかねません。必要最低限の知識だけでも備えておきたいものですね。

社員旅行に関する書類は、不測の事態も想定して、少なくとも「旅行の日程表」と「参加者名簿」は旅行後も保存しておくことをおススメします。備えあれば憂いなしですね!

■参考文献:
・福利厚生/社内行事ハンドブック 各種福祉施策の実態、福利厚生・社内行事を活用した社内コミュニケーションの活性化に向けて 産労総合研究所(編)産労総合研究所出版部経営書院
・小さな会社の税金と節税がわかる本’13~14年版 成美堂書店
・役員に学ぶ「闇給与」のススメ 光文社新書
・経費で落ちるレシート落ちないレシート 日本実業出版社

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